コンセプト

太古の時代に生み出されてこのかた、
紙は、常に人間の傍にありました。
とくに、私たち日本人は、紙という一見脆く繊細な素材から、
正しさや、礼節など、さまざまなことを学び、受け取ってきた民族です。
紙とは何か。紙は人間に何を与え、紙から何を受け取ってきたか。
紙を使う社会には、どんな未来があるのか。
<竹尾ペーパーショウ2010>では、「原始」「原型」などの「原」を意味する
「proto-」をキーワードに、紙本質のあり方、そこに秘められた可能性と
紙が持つ真の力を実感する、体験型のペーパーショウを展開します。

紙の持つ弱さが、実は、紙の美点である。

汚れる。破れる。変質する。
湿気に弱く、かつ燃えやすい。
産業素材としての紙は、いくつかの弱点を持っています。
しかし、脆く繊細な素材だからこそ、
日本人は紙に礼節をもって接し、
大切に扱うことを自らに課してきました。
神社仏閣の祭礼で使用される紙、
また、清潔さを示す掛け紙など、
人が紙に姿勢を正して向き合う姿には、
ある種の神聖さが漂います。
紙は弱い。けれども、その弱さゆえに、
人の内面から智慧を引き出す強さをも持ち合わせている。
今回、私たちは、紙の真の力=紙が紙であることの意味に迫ります。

紙に触れ、生まれる可能性。

実現したいのは、記録媒体としてではない紙の「原型」を示しつつ、
実際に触れ、本質を感じ取るためのアプローチ。
たとえば、紙の「原始」の姿、誕生と消滅、再生の仕組みを見せること。
たとえば、無垢な紙が備えている清らかさ、
ぬくもりなどの長所を視覚や聴覚、触覚、嗅覚を使って再認識すること。
たとえば、フラットな紙を折って造形し、無限の可能性を見出すこと。
そうした中で、紙と人間の関わり(過去)、今ここにある紙(現在)、
そして、将来の紙のあり方(未来)とその連鎖を、現してみせること。

未来のために、「原始」に還ろう。

紙とともに生きてきて、今がある。
これからも、私たちは、多くの紙を生み出し、
また紙から多くのものを受け取りながら歩んでいくでしょう。
あらゆることが大きく変容しつつある2010年代最初の年。
まっさらな心で紙に触れ、
美しさや優しさ、楽しさを体感することで、
人間は、世界は、さらに確かな豊かさを手に入れられる。
その可能性を、<竹尾ペーパーショウ2010>で、
存分に感じていただきたいと思います。

 

<竹尾ペーパーショウ2010>アートディレクター
山口信博 緒方慎一郎 山中俊治

 





2010年3月

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